今宵は月と花と夢語りと・・・
当ブログは、MMORPG「エミル・クロニクル・オンライン」のプレイ日記というか、なんていうかそんな感じのものです、たぶん・・・。
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DATE: 2008/02/27(水)   CATEGORY: ECO学園
ちょーひさしぶりにのECO学園と、都合のいい2万HIT記念
2人:始めましてー

20080227020327.jpg
アルフ:アルフィージ・エルシオルって言います。

アルテ:アルテミス・エルシオルと申します。

アルフ:名前から察する人がどれだけ居るかわかりませんが、執事の息子と娘です。
ついでに兄です。兄!

アルテ:・・・・・一応、妹です。

アルフ:あ、なんで俺ら兄妹がこうして出演してるかってーと・・・・・

アルテ:私達が出演した理由は、本来の時間軸では存在していない。
     つまりは、夢のような出来事。という意味で私達がナレーターすることになったそうです。

アルフ:そう・・そう、このブログの題名でもある、「夢語り」です。

アルテ:今更感たっぷり・・・・。

アルフ:・・・・そういうことを言うと、出番が無くなるって母さんが言ってたぞ。

アルテ:元からないし・・・。

アルフ:と、とにかく・・・! 2万HIT記念ぽかったりしますが、ECO学園第2話
     しばしの夢語りにお付き合いくださいませ~

アルテ:ませ~・・・。




ECO学園物語 第2話 うっちーのPink Study


― 1 ―


「・・・・うぅ、く・・・うぁぁ」
深い暗闇の中、苦悶の声を上げる。
声の主の名は虚刃。ECO学園にて剣道部に所属する実直な少年である。
「くっ、・・・うぅ、ここ・・・は?」
「あ、お目覚めかなうっちー?」
この暗闇の中で尚、金色に光る双眸が少年に向けられる。
「んふふ~、ここは私のひ・み・つの・実験室だよー」
「・・・じ、実験室?」
起き上がろうとするが、体の自由が効かない。
自分の体が自分のじゃないような感覚。
「この感覚・・・、薬の影響か?」
「どうだろうね~?でも、安心していいよー」
金色の双眸が愉快そうに細められる。
「安心・・・だと?」
その言葉と今の状況がまったく結びつかない。
「先生は~、うっちーの味方だから~♪」
取り出したのは注射器。中には発光する謎の液体・・・。
蛍光色に発光する液体に照らされて、辛うじて周囲が見える。
「ま、まて・・・!?」
「は~い、お注射の時間ですよ~」
近づいてくる、笑顔の女性と・・・床を埋め尽くす「触手」の群れ
体を貫く鋭い痛みと、形容し難い謎の液体が体の中に入る感覚。
「アッ―――――!?」




「―――、ハッ!?」
急速に世界は反転し、意識は現実へと収束していく
「ハァッ・・・ハァ、また・・・か」
2週間ぐらい前から見るようになった悪夢。
全てを鮮明に覚えてるわけではないが、脳裏にはくっきりと残るローパーの群れ・・・。
「いったい何なんだ・・・」
寝なおすかと思い、時計を覗くと5時30分を示していた。
寝直すにも微妙な時間・・・。そう思った俺は寝汗をしこたま吸ったシャツを脱ぎ捨てると、
動きやすいジャージに着替える。
(1時間ぐらいのコースでいいか)
頭の中に残る嫌な感覚を振り払うかの様に、早朝のジョキングに出かけていった。


朝7時30分。
寝起きの悪いレラを起こすために、近所のブリッサ家へと毎朝赴く。
「・・・ん、・・・・・・・おはよう・・・うっちー」
独特の間をもつフェーゴとともに、いつものレラとのバトル。
「・・・・・レラ、・・おきて」
ぐっすりと熟睡するレラは起こすフェーゴの姿は、起こす気0にしか見えない。
あんな小さく体を揺らして、あんなぼそぼそゆったりと声かけたら、
起こすどころか、逆に眠ってしまう。
仕方ないから、俺が起こすことになる。
なるのだが・・・。
レラは昔から寝相が悪く、色々見てきた経験もある。
しかし、最近は成長期だからか、どんどんと女性らしい体つきになっていくせいか、
直視するのは、色々と・・・その・・・問題があるのだ。
「おい、起きろ!レラ、起きろー!」
あまり見ないようにしながら、それでもちょっと期待してる部分もあって・・・
複雑な思いを抱く毎朝・・・。


「毎朝ありがとう、うっちー」
「感謝するぐらいなら、自分で起きてくれよ・・・」
朝に通学路。時間は8時30分。いつもの遅刻コースである。
それでも、出来る限り早く到着するために走りながら、いつもの掛け合い・・・。
「でね、感謝ついでにお願いあるんだ・・・うっちー」
顔を俯かせ、言いづらそうにするレラ。
何かあったのかと心配になる・・・。
「どうした、レラ?」
「・・・・ごめん、もう走れない!」
そう叫ぶなり、足を止め地面に座り込んでしまう。
「・・・・・大丈夫・・・レラ?」
レラの分のかばんを持っていたフェーゴが、荒い呼吸を繰り返すレラの背中を擦っている。
「あ、・・・ありがと、フェーゴ」
「せめて歩こうぜ」
こんなやり取りも毎朝。
変わらない日常のおかげか、朝の夢なんてすっかり忘れ、俺たちは学校へと歩き出す。



― 2 ―


「・・・・・・・・・・」
「「「・・・・・・・・・・・」」」
ECO学園校舎職員室。特別進学科の担任である俺、アルヴィオン・エルシオルの前には3人の生徒。
「・・・・で、言い訳は?」
「え、え~っと、その・・・」
仏頂面で立つ虚刃に、ぼーっと虚空を見つめるフェーゴ。
それに言い訳を考えているエストレラの3人だ。
「ちゃ、ちゃんと朝は起きたんですけど・・・、その・・・制服が見つからなくて・・・ですね?」
毎日違う言い訳で遅刻をするこの3人。基本的にレラが朝弱すぎるせいで、遅刻しているようである。
「お前達が入学してから、かれこれ一ヶ月だ」
この3人は一度も、遅刻をしてこなかった日がない。
「さすがに、朝会でも議題に上がっている・・・。
このまま行くと、補習なりボランティアなり、休みの日を潰すことになりかねんぞ?」
「せんせい~・・・」
「お前達の事情も理解しているが、いかんせん常習になられても困る。
実際、これが原因で遅刻を容認しろという声もちらほらと上がり始めてるんだ」
事情が事情だけに多めに見て貰えるよう諸先生方にはお願いしてきたが、
いかんせん校長が不満を持ち始めている。
それに生徒の中でも、やはり良い目では見られてはいない。
「とりあえず、俺ら授業に向かっていいですかね?」
虚刃が窓の外を気にしながら、声をかけてくる。
「ん、そうか。一時間目はゼザ先生の授業だったな」
「ああ、様子を見る限り今日はマラソンみたいだし。時間が短くなるとつらいんだけどさ・・・」
「ああ、わかった。詳しい話は昼休みのときにでもするから、覚悟しとけよ?」
肩をがっくりと落としていくレラとちょっと顔色が変な感じの虚刃。
「あ、おいうつろ―――」
「・・・・レラが・・・寝坊して・・・・」
「―――は?」
突然口を開くフェーゴ。
呆気に取られる3人・・・・。
「・・・・・遅刻した・・・」
「「「・・・・・フェーゴ」」」



3人を授業に見送った後は、雑務の続きだ。
先週行われた部費争奪バトルロワイヤルの後始末がたんまりと残っている。
ついでに始末書もたんまり残っている。
(その名前からかなりの不安要素だったが、教師生活一ヶ月目から始末書の世話になるとはな・・・)
バトルロワイヤルの被害で、本校舎とは別の特別棟は半壊している。
まあ、事の顛末は又の機会にでも語るとしよう・・・。
「おっかしいなぁ・・・」
書類の山と格闘していると、闇莉先生がぶつぶつと呟きながら職員室をうろうろしている。
「何してるんです?」
蛍光色に発光する液体?のようなモノを詰めた瓶を手に、闇莉先生は困った顔をしている。
「・・・アル先生かー・・・」
俺を値踏みするような視線を走らせた後、何かを思いついたのか、その金色の瞳に笑みが宿る。
「ねえ、アル先生。・・・ちょっと実験に付き合って欲しいなーって思うんだけど~」
「断固拒否いたします!」
蛍光色の液体を手に近寄ってくる闇莉先生に、自然と戦慄が走る。
本能が危険だと告げているのだ・・・。
「だいじょぶじょぶ。ちょっとこの液体?を注射するだけだから~♪」
「自分で液体?なんて言ってるようなものを体内に注入しようとしないでくれ!?」
注射器に嬉々として液体?を詰めている・・・。
「2週間も前に実験したのに、うっちーに反応がないんだもーん。失敗するはずがないんだよー?」
「はぁっ!?うっちーって虚刃に何したんですか、闇莉先生!!」
「・・・・あっ・・・まずったな・・・・」
口が滑ったといわんばかりの闇莉先生に、俺は詰め寄る。
「ちょっと話を聞かせて―――」
それこそが闇莉先生の罠と知らず・・・。
「隙ありぃーーーーー」
「―――っ!?」
その瞬間、職員室と言わず校舎の窓ガラスという窓ガラスが―――爆ぜた。
「何が起きた・・・」
視界を覆う紫色の魔力光、ちらほらと聞こえる生徒達の悲鳴と歓声。・・・歓声?
いまだ状況が理解できない中、窓からグラウンドの方を覗き込む。
そこにいたのは―――
うにょっ、ぬりゅっ、うにょうにょっ・・・・
―――4メートルぐらいのローパーっぽい生物だった・・・。


― 幕間 ―

学校についてからというもの、どうにも気分が悪い・・・。
今日は朝から体育だ。だというのに気分が晴れない。
なんだかもやもやとした気持ちが膨れ上がっていく。
ゼザ先生が何かを言っている・・・。
何だろう・・・。俺の体が勝手に走り始めた。
意識が朦朧とし始める・・・。
誰かが俺に近づいてきた。
これは・・・レラとフェーゴ・・・?
2人を認識すると、どんどん意識が薄れはじめる。
レラが何か叫んでる・・・。
やわらけぇ・・・。
どうやらレラを巻き込んで倒れたみたいだ・・・。
最近は発育もいいみたいで、ほんとやわらけぇ・・・
胸のもやもやはどっかにイッタみたいで、すごく心地いい。
あぁ・・・ねみぃ・・・・


― 3 ―


無音の爆発が起こり、視界が紫色に支配されたグラウンドの中で。
それはいつの間にか、居た・・・。
「・・・レラ!?」
気づいたフェーゴの視線には、レラの体に絡みつくローパーの触手。
「・・・レラを・・・離せ!」
爆風で転がったのか、近くにあった角材を拾うとレラに絡みつく触手に向かって走り出す。
「危ない、フェーゴ!」
レラしか視界に入ってないフェーゴに、横から別の触手が襲い掛かるのを
間一髪のところでゼザ先生がフェーゴを抱えて真横に飛ぶ。
「無鉄砲は駄目だ、冷静になれフェーゴ!」
「せ・・・先生・・・」
グラウンドで授業中の特別進学科の生徒達の中で、女性ばかりが触手に追われているのが視界に入る。
「男子は女子を護れ!女子は急いで校舎に入るんだ!」
ゼザ先生の声がみんなを走らせる。
「レ・・ラ・・・!」
「落ち着けと言ってるだろ、フェーゴ。熱くなったら出来ることすら出来なくなるぞ!」
「・・・!」
深呼吸をする。心を静かに・・・。落ち着けと何度も念じる。
レラを助けるために・・・落ち着け・・・!
「な、なんでやんすかこの化け物は!」
「「「ば、番長!?」」」
どっから現れたのか、番長はなぜか校舎とは反対側、タイニー商店街の方からやってきた。
そして、触手に絡め取られたレラを見た瞬間。
「や、やんす!?あっしもレラのようにされるでやんすか!!」
その叫びに反応したのか、ローパーはその触手を番長の方に向けると―――
「や、やんすーーーーーーー!!」
―――躊躇無く、番長の横っ腹に叩き込んだ。
「「「・・・・・・あ・・・・・」」」
数メートル程吹っ飛ばされ、地面をゴロゴロと転がる番長・・・。
「が・・・がくりで、やんす・・・・」
「「「番長ーーーーーーーーー!!!」」」
学生達の咆哮がむなしく叫び渡る・・・・・・。


その頃、職員室では・・・。
「おー、飛んだな・・・」
「実にいい飛びっぷりよ」
窓ガラスが割れ、机などもぐちゃぐちゃの中で、クラファー先生と見物モードに入っていた。
「どうやら何人か捕まっているようだ」
「みたいですね・・・全体的にないすばでぃばかりな気もするが・・・」
双眼鏡で覗く様は、端からみたら怪しさ抜群である。
「ふむ、やはりブルマはいいな・・・」
「ブルマも悪くないと思いますが、触手によって、強調された胸には勝てないと思うんですよ」
「ふっ・・・若いなアル先生」
なにを見てるかといえば、触手に絡め取られた女生徒たちを覗いてた・・・。
「ええい、一体何の騒ぎだ!?」
野太い声を荒げながら、どすどすと入ってきたのは、いけ好かない校長だった・・・。
このおっさんは汗臭いし、口臭いし、たまに人の尻をじぃーっと見てたりするし、
なんてーか、ヤバイ。危険信号バリバリだ。
「おお、クラファー先生。一体何の騒ぎです?」
「校長、騒ぎ立ててばかりせずに、ご自分の目で確認することも大事では?」
「むぅう!」
鼻息荒く、自前の双眼鏡を覗きこむ校長。
(このおっさん、つねに双眼鏡を携帯してるのか・・・)
あまり関わりあいになりたくない手前、そろそろと距離をとり始める。
「こ、これは・・・・!?」
「実にいい尻だとは思わんかね、校長」
「さすがはクラファー先生。実にいい!!」
(尻派が2人・・・・。早めに逃げるべきか)
気づかれないように、職員室の出入り口まで来たとき。
ドアがものすごい勢いで吹っ飛んでいった。
「せ、先生方!・・・・な、何をしてらっしゃるんですかーーーーーーーーーー!?」
走ってきたのか、ミスティ先生が息を切らして、キレていた。
(真面目に事態の収拾に向かうのが吉っと・・・)
こそこそと逃げる俺の後ろで、鈍い打撃音とクラファー先生の断末魔・・・・。
そして、聞きたくもない、校長の嬌声だった。



(成功だよー。時期は見誤ったけど、これで臨時収入だね♪)
さっきの爆発の騒ぎに乗じて、一人秘密の実験室に戻ってきていたのは闇莉先生。
「ふっふっふー、この触手君EXは成功だね~」
なんともなネーミングではあるが、その手に持っているのは先ほどの蛍光色の液体?である。
ちなみに独り言ではなく、部屋で蠢いているローパーたちに喋っているのであしからず。
「まったく、うっちーめー・・・。てっきり性欲がないのかと思っちゃったよ・・・」
ご満悦なのか、一匹のローパーを抱きながら喋り続ける。
「やはり、闇莉先生でしたか・・・。」
静かな声とともに扉が蹴破られる。
「今回の騒ぎについて、お聞かせいただけますか?」
そこに立っていたのは生徒自治会執行部の面々。
「げっ、執行部に嗅ぎつけられたの!?」
「逃がしませんよ!」
立ち上がりかけた闇莉先生の動きにあわせて、天井裏からファイミが降りてくる。
「挟み撃ち・・・相変らず用意周到だな~、もう」
「逃がすわけには行きませんからね・・・・」
ぶーたれる闇莉先生と対照的に無表情に相対するイズベルガ。
「さて闇莉先生。あのローパーを止める方法は?」
「ふふふー、知りたいの~?」
イズベルガたちの優先順位がどこにあるか、悟った闇莉先生はニマッとした笑みを浮かべる。
「じゃあ、交換条件かな~?」
「交換条件・・・ですか」
「そそ、あれの止める方法を教えてあげるから、私を見逃して欲しいっていう簡単な取引だよ」
イズベルガはチラッとファイミにアイコンタクトをとると、握っていた鞭を下ろす。
「いいでしょう、優先すべきは事態の収拾です。」
その答えに闇莉先生はにっこりと微笑むと
「あれを止める方法はね―――」
軽やかにイズベルガの横を軽やかに走り抜けると
「時間だけだったりして~~~♪」
捨て台詞を残して走り出す。
「にゃーーーーーーーーーーー!?」
そして叫び声が響いた。
「作戦成功ね、イズ」
「ご苦労様です、ノーシェさん、ファイミさん」
くるくると目を廻す闇莉先生を縛ったノーシェが床一面に散らばったバナナの皮を拾っていた・・・。


― 幕間 ―

「大佐か・・・」
「グレ、首尾はどうだ」
「順調だ。奴を止める方法もわかったぞ」
「よし、それでその方法とは?」
「奴の欲望を満たすこと、だそうだ。闇利ちゃん秘密メモとかいうノートにそう書いてある」
「・・・・・グレ、そのノートを持って戻ってきてくれ」
「・・・・・了解だ、大佐」

― 4 ―


「うぅ・・・、・・・・・あ・・・・れ・・・?」
意識が次第に明瞭になっていく。
「フェー・・・ゴ?」
「レラ・・・・・・・・!!」
所々に血を滲ませた体操服を着たフェーゴが何か叫んでいる。
手には角材。その近くにはゼザ先生の姿もある。
そして何よりおかしいのは私の視線の位置だ。
「浮いてる?」
恐る恐る下を覗いてみると、そこには粘着質な液体を滴らせる触手。
「え・・・・えぇ!?」
ぬちょぬちょと気持ちの悪い音を立てながら、私への拘束を強めていっている。
「・・・レラ、今・・・・助ける!」
「フェ、フェーゴ・・・」
襲い掛かる触手の群れを紙一重で避けながら、フェーゴが疾駆する。
一直線に駆け寄ってくるフェーゴに手を伸ばそうとするが、絡みつく触手がそれを許さない。
「こ、の・・・。あ、こら、変なとこ触るな!」
触手がぬちょぬちょと蠢くと、微妙に衣服が乱れ、自然と危ない格好にされていっている気がする。
「フェーゴ!お前はレラの元まで走れ。邪魔の触手は俺が捌く」
どっから持ってきたのか、木刀を振り回すゼザ先生が叫ぶ。
「や・・・やだ、変なとこ触るなぁ!」
「レラ!!」
触手の網を掻い潜ったフェーゴが跳躍し、私の下までたどり着く。
「レラから・・・離れろ!」
間一髪、危ない位置を狙っていた触手を角材で叩き落した瞬間、
ヒュンという風切り音とともに数本の矢がローパーやその触手に突き刺さる。
「BRUAAAAAAAAA!!!????」
痛みに耐えかねたのか、触手をブルンブルン廻すと、捕まえていた私もろともフェーゴを投げ飛ばす―――
「フェーゴ!?」
「くっ・・・レラ!?」
無理やり腕を伸ばしたフェーゴが、私を力強く抱きしめ―――そして鈍い音と落下の衝撃が私を貫いた。



「あっ・・・・」
「今飛んでったのってフェーゴ?」
弓を構えた5人にやっちゃった感が漂う。所々に破損の見受けられる屋上に、
弓道部の面々が弓を携えて、佇んでいた。
「無事ならいいが、今は気にしてる場合じゃない。構えろ!」
俺の掛け声とともに、4人は弓を構える。
「先生、レラも放したみたいだし、あとはいいんじゃないか?」
探偵の声に他の3人もうなずく。
「とはいえ、下ではゼザ先生が戦っているんだ。援護は必要だろ」
「それなら・・・・・・・・」
「「「出来れば銃で」」」
3人が声を合わせる。
「「・・・・・・・・・」」
銃を寄越せよと3人の目が物語っている・・・。
「ど、どうするんだよ先生・・・」
探偵が困ったように聞いてくる。
このままだと、俺にも被害が来そうだ。
「あとは任せたぞ、探偵!」
しょうがない・・・探偵を犠牲にしよう。
「はっ?」
屋上をダッシュで逃げ出す。
「せ、せんせーーーーーーΣ」
弓道部の面々を屋上に放置し、グラウンド目指して走っているとき。
――ぴーんぽーんぱーんぽーん――
「こちら大佐だ。グラウンドのローパーと戦っている諸君らに告げる」
教頭先生が動いたということは、解決策が見つかったということか・・・。
「あのローパーを止める方法は二つ」
「一つは宿主となる虚刃の欲を満たすこと―――」
うっちーの欲を満たすってなんだよ・・・。
「――もう一つは、時間だ。調査の結果、後6時間ほどで魔法薬の効果が切れるそうだ」
・・・・結局そこか・・・。
「こちらで対抗策を準備している。それまでの時間を稼いでくれ。以上だ」
時間稼ぎか・・・ちょうどいい!
走り続けた勢いを殺さず、グラウンドを目指し走り出す。


「失礼しますよ」
「わざわざ連れて来てもらってすまんな」
そこは応接室。出迎えたのは先ほどの声の主。
自らを大佐と呼ぶ、ECO学園の長である。
校長はお飾りなので、実際は権力がない。命令を出してもきっと従わないだろう。
「さて、こうして事件の張本人を連れて来てもらったのは他でもない」
「彼女に事態の収拾を図らせるのですか?」
大佐の前に居るのは、当学園の学生自治会会長、理事長の愛娘ル・ティシェその人である。
「本人が作ったものです。対処の仕方もわかるでしょう」
「確かに道理。・・・了解しました。手はずはそちらにお任せします」
「感謝しますよ、自治会長」
静かに打ち合わせが終わる。一を言えば五まで予測できる2人に細かい打ち合わせは必要としなかった。
一言で言えば、「慣れている」ということだ。
「では、後でイズに連れてこさせましょう」
コンコンと扉のノックする音が響く。
「開いていますよ」
「失礼します」
扉を開けた先に居たのはイズベルガと縛られた闇莉先生。
「必要かと思い、容疑者をお連れしました」
「さすがは自治会の剣。察しがいいですな」
「お褒めいただき有難うございます」
「では、始めますかな・・・」
縛られて動けず、猿轡を噛まされて喋ることすらままならぬ、闇莉先生に3人は近づいていく。
「んーーーーー!んーーーーーー!?」


「BRUAAAAAAAAAA!!!??」
うねる触手の猛攻を紙一重で避けながら、確実に一本一本触手を叩き落していく。
「どれくらい足止めすればいいんだ・・・っと!」
引き絞った弦から、数本の矢が放たれ、的確に触手の群れに突き刺さっていく。
「さすがに、延々と再生する触手が相手じゃ、気が滅入ってくるな」
「アル先生、矢の残量に気をつけてくださいよ?」
「わかってますよ、ゼザ先生」
辺り一面に広がるローパーの体液。矢が刺さり、木刀で潰された部分から噴出す体液が辺りを汚す。
「ゼザ先生!」
「フロース、フェーゴを頼む!」
生徒の避難を行っていた、運動部の面々が集まり始める。
「アル先生、新しい矢筒預かってきたぜ」
ライ子、オゲーラといったフェンシング部の面々、それに剣道部のフロースが集まってくる。
「後、探偵からの伝言、この恨みは忘れないだってさ。先生なにしたwww」
新しい矢筒をライ子から受け取りながら、オゲーラに笑われる。
「人生はかくも厳しいということだ、よ!」
弦を引き絞り、襲い掛かる触手を撃ち落す。
「大佐の対抗策ってのは、まだかかるのか?」
「大佐からの指令もないですし、もうしばらくの辛抱ってことでしょうね!」
疲労の色が見えないゼザ先生が間合いを詰めていく。
「オゲ、ライ子。君達は接近しすぎるなよ!!」
「「了解!」」



背中が焼けるように熱い・・・。
「フェーゴ君!、わかりますか、フェーゴ君!?」
聞きなれた声が聞こえる。
厳しさの中に優しさをもった声。これは・・・・
「うぅ・・・、フロース・・・先、輩?」
「ああ、気がつきましたかフェーゴ君」
体がずきずきと痛む。とくに背中は焼けるような痛みが走る。
「くぅっ・・・あ、はい。大丈夫です・・・」
「よかった、フェーゴ君立てますか?」
状況がイマイチ理解出来ない。俺は気を失ってたのか・・・
何で気を失った?
「BRUAAAAAAAA!!??」
そうだ、あの巨大なローパーだ!
「レラ・・・・レラは!?」
「落ち着いてくださいフェーゴ君。レラさんはこちらにいらっしゃいますよ」
横に寝かされたレラの姿を見て、ほっとする。
レラにはジャージが上から着せられている。
「あのローパーの体液のせいか、多少衣服が溶けてしまっていたんです」
フロース先輩が説明する。その視線の先にはローパーと戦う先生達・・・。
「先輩・・・。レラを、お願い・・・します」
俺の決意をわかっていたのか、満足そうな顔で木刀を渡してくれる。
「冷静に、ですよ。フェーゴ君」
「・・・・・はい!!」
体中の痛みを堪えて立ち上がる。
「うおおおぉぉぉぉぉぉ!!」
気力で体を震わせると、ローパー目掛けて走り出す。
俺の咆哮が響いた瞬間、変化が起こった。
ローパーの足元に多重魔方陣が発生したのだ。
「さあ、お行きなさい!!」
イズベルガ先輩の声が響くと、黒い塊を魔方陣の中に投げ込む
「にゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!???」
あの声は闇莉先生?
「全員、魔方陣の外へ!、フェーゴ・・・我慢しろよ!」
「ガッ!??」
ゼザ先生が事態を察し、突撃する俺をラリアット気味に魔方陣の外へ放り投げる。
唯一人、投げ込まれた闇莉先生を除いて。
「「「結界精製、クリスタルゲージ!!!」」」
ルベリエを中心にマリセお嬢様とミスティ先生が結界魔法の詠唱を終わらせる。
「だ、出してーーーーーーーー!!」
闇莉先生の叫びを耳に、俺は本日3度目の意識の放棄をおこなった・・・。


― 5 ―


PM16:20
あのローパーを閉じ込めてからおよそ4時間。
現在、結界の中では闇莉先生が唯一人でローパーの相手をしている。
あのローパー、でかさのせいか動くことが出来ないらしい。
その結果、襲いかかる触手を闇莉先生の得意魔法である「セイスフルール ティクル」にて、
一本一本捕まえているようだ。
結界に閉じ込めておけばいいという話でもあるのだが、罰の意味も含んでいるらしい。
「で、結局なんだったんです、あれ?」
「闇莉先生の秘密メモには、使用者の欲望を魔力に変えて、
一定量が溜ると発動する時限式トランスフォームみたいな意味の文がありましたよ」
ミスティ先生が紅茶を入れながら、答えてくれる。
「欲望ねぇ、なんでその薬の犠牲者がうっちーだったんだろ・・・・」
俺の分の紅茶も用意してくれたのか、カップを渡してくれる。
「何でも、最初の目的は先週の部費争奪戦の切り札のつもりだったみたいですよ?」
「なるほど、予想以上にうっちーが健全だったってわけか」
紅茶を一口すすると、芳醇な香りが口の中に広がる。
やっぱり、学校で優雅なお茶の時間が持てるのは教師の特権だ。
「生徒を実験台なんかに使おうとするから、こうなるんです」
グラウンドで叫んでいる闇莉先生に対して、かなりご立腹のようだ。
「お疲れ様です!」
部室棟のシャワーを使ってきたのか、さっぱりとしたゼザ先生が帰ってきた。
「お疲れ様です、ゼザ先生」
ミスティ先生がゼザ先生の分のお茶を用意しに席を立ち上がる。
「明日は、グラウンドの整理になりそうですね」
闇莉先生の叫び声が響くグラウンドには、大量の触手が散らばっている。
「さすがに、やりすぎましたかね・・・」
「先週は生徒達の監視役しか出来ませんでしたからね・・・。ちょうどいい運動にはなりましたよ」
「ゼザ先生、どうぞ」
「ああ、これはどうも」
紅茶を啜りながら、しみじみとゼザ先生が呟く。
「いやぁしかし、闇莉先生の実験室はすごかったですよ」
「闇莉先生の実験室?」
「AFK団の部室の地下に作られてたんですが・・・。その中には床一面のローパーが蠢いてましてね」
「ひっΣ」
ミスティ先生の顔が恐怖に歪む。
「い、嫌な想像をしてしまいました」
「なんて部屋だ・・・」
色々な思いで、グラウンドの闇莉先生を覗く。いつの間に来ていたのか、璃遠ちゃんが闇莉先生に説教をしているようだ。
「諸先生方、ご苦労様だ」
複雑な思いで見ていたら、いつのまにか大佐こと教頭先生がやってきていた。
ちなみに自称しているから大佐というわけではなく、敬意を込めて大佐とも呼んでいる。
「お疲れ様です、大佐」
「ああ、ちょうどいい。アル先生これをお願いします」
机にすっと紙が置かれる。
「・・・・・・・始末・・・・書?」
「今回の主犯は闇莉先生ですが、原因は虚刃君で、それに気づかなかった
アル先生にも責任があるという校長のご意見です」
「・・・・・・・・校長・・・・ですか」
ミスティ先生とゼザ先生が早々に帰り支度を始める。
俺はやっぱり、あのおっさんが嫌いだ・・・・。


ちなみに闇莉先生は20時頃に解放された。そしてうっちーは校長先生に抱きかかえられてご帰宅なさったいた。
遠めだが、校長の顔がとても気持ち悪いくらいにやけていたように見える。
(南無・・・としか、言い様がない)
その頃の俺は始末書に追われていたからうっちーを送ることも出来ない。
すべては校長が悪いんだろう。それでも帰ることが出来る3人を、窓が割れた職員室から恨めしげにみている俺がいたり・・・。


―後日談―


・・・・3枚・・・5千Gで・・・るよ?
もう・・・安く・・・ですかな?
用務員室の前でぼそぼそとしている生徒を発見・・・。
「オマエら、そこで何してる?」
「「!?」」
「あ、アル先生?」
片方は写真部の理遠。もう一人は・・・
「おお!これはこれはアル先生ではありませんか。いかがですかな、
写真部の技術の粋を一緒にご覧になるというのは?」
「写真部の・・・粋?」
「あ・・・あはは、そ・・・それじゃまたね~」
チラッと見えた写真には、レラの半裸姿・・・。ついでに触手が絡み付いてた。
「ああ!なんともったいないことをした・・・。これは後で売っていただかねばなりませんな」
「・・・・執事。先生?」
本気で惜しんでいる顔をする、このおっさん。
まともな人は居ないのか・・・・。
「・・・秘密の取引をみてしまったです・・・・」
「あ、タムさん。声を出してはダメです」
声がしたのは用務員室のほう・・・。
ドアの隙間から覗いているのは、うちのクラスのタムと用務員の仲さんだ。
「あの・・・・一体何を?」
「いえいえ、私たちは何もみていませんよ。ねえタムさん」
「アル先生が、エッチな写真の裏取引で、御用です」
「それはおかしくね!?」
ところどころが抜けた文のせいで、俺に罪が被りそうだ。
「これはいい交渉材料が出来たです・・・」
その呟きとともにドアが閉まる・・・。
(俺が何をしたっていうだ・・・)
釈然としない思いを抱えている俺の前を、レラが廊下を爆走していく。
「りおーーん!?」
どうやら、写真の件がばれたようで・・・・。
まあ、なんだかんだあっても元気なようで、よかったよかった・・・。
(毎日始末書のような日々はごめんだけど・・・、・・・そう、たまにならあんな日も悪くないかな・・・・)
この事件がきっかけかわからないが、普通の少年がローパーに変身して幼馴染の少女を襲うという本が一時期ブームになったとか・・・。その作者の名前は・・・・・宵町ノーシェ。
この学校の生徒は色々裏がありすぎだよな・・・。






「ねえ、仲・・・」
「どうしました、フェーゴさん」
場所は打って変わってお昼休みの屋上。
野菜クズをあげるフェーゴとそれを食べる仲の2人・・・じゃない、一人と一匹。
「・・・本当に、・・・本気だった・・・」
「人生ままならないこともありますよ、フェーゴさん」
貴重な栄養源であるフェーゴからの野菜クズを食べる仲を、フェーゴは複雑な思いで見つめていた・・・・。



―第2話 終わり―



・・・・・2分割すればよかったかも・・・・・・
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COMMENT

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アルテミス | URL | 2008/02/28(木) 20:00 [EDIT]
まずは、更新お疲れさまーw
次も、上手に語り手をできるようにがんばるよー

あ、お母様からの伝言です…。

かりょ「・・・・エッチな写真の裏取引で、御用されるような亭主は帰ってこなくてもいいわよ~」

だそうですww  パパ、がんばって><。

ゼザ | URL | 2008/02/29(金) 15:47 [EDIT]
うーむ。
何時ぞや会った彼は、アル先生の息子だったとは…。
一家を養うというのは結構大変らしいですよ?

まあ、家庭の事情はおいといて…。


随分私がカッコよく書かれていますな…。

普段は落ち着いた口調でも、少し熱くなると昔の口調に戻る…。
うむ、理想だ。

前回も思いましたが、キャラクターをうまく捉えている…。
本当に面白いの一言に尽きます。

これからも期待させて頂きますよ。

ノエル。 | URL | 2008/03/07(金) 17:44 [EDIT]
ふわぁー!
あんまり面白くて時間を忘れて読み耽ってしまいました♪
今日のレッスンは遅刻。。。。もといサボりになりそうな感じです(ぁ
皆さん続々出演で、次は誰が出てくるのかワクワクしながら読みました♪
本当にお疲れ様でした~♪
次回作があるといいなぁ。これからも楽しみにさせて頂きますね><w

追伸
校長のおじさん消していいですか?
ニア はい   YES

ほたて | URL | 2008/04/18(金) 20:16 [EDIT]
闇利先生がそんなかくし部屋を持っていたなんて・・・
これはイイネタになしろうです_〆(・ω・`)メモメモ
そしてECO学園のグランドや校舎ってどこなんだろう・・・
っと、本気でECO学園の全貌が気になります

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