今宵は月と花と夢語りと・・・
当ブログは、MMORPG「エミル・クロニクル・オンライン」のプレイ日記というか、なんていうかそんな感じのものです、たぶん・・・。
DATE: --/--/--(--)   CATEGORY: スポンサー広告
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
page top
DATE: 2007/04/05(木)   CATEGORY: SS
1000HIT記念!!
「祝1000HIT記念!!」
ということで、SS書いてみました。










今宵は月と花と夢語りと・・・
       外伝「両手の鋼と想いの形」












昔を思い出すのは、こんな桜の舞う季節・・・。

それは10年前。
俺がアクロニア大陸に降り立つ1ヶ月前の事・・・。


「汝に弓騎士の称号を授ける。家名に恥じぬ働きを期待しておるぞ」
(・・・ああ、またか)
それが最初の感想。叙勲式で感じた最初の感情は落胆だった。
「アルヴィオン・エルシオル」それが俺の名前。
俺の唯一のステータスであり、俺がもっとも忌み嫌うもの。
ドミニオンの中でも、伯爵の地位を与えられた由緒ある家柄・・・。
ただ、騎士として名を馳せたこの名前は、重荷以外の何物でもなかったんだ。


「アル様、騎士の叙勲おめでとうございます!!」
叙勲式を終わった俺を待ち受けていたのは「セレシアーナ・ウィンバー」
小さい頃から許婚として、身の回りの世話をしていた少女。今回の叙勲に素直に喜んだのは彼女だけだろうと思う・・・。
「・・・・そんなに、おめでたいと思うか?」
「アル様・・・?」
小さな呟きは風に流され、彼女の耳には届かなかったようだ。
(弓騎士か・・・)
エルシオルの家は騎士の家柄。父は騎士団長も勤めるダークストーカー。
祖父もまた、将軍として名を馳せるダークストーカー・・・。
そんなエリートの血を引いた俺は、誰もがナイトへと進むものだと思われていた・・・。
結局、俺に才能はなかった訳で・・・。
剣を持っても、槍を持っても、俺には才能の欠片さえ見つからなかった。
(あの時の落胆した親父の顔は・・・)
あれ以来、親父は俺を息子と見なくなった。
弓に才能見出した時も、親父は見向きもしなかった。
親に認められることなく、こうして騎士となった俺の心には・・・。
満たされない思いが、ぽっかりと口を開けている。
「叙勲式が終わりました・・・。」
「あ、ああ?」
唐突に切り出したセレの言葉に、僅かな困惑が浮かぶ。
「アル様は・・・エルシオルの家を出るおつもりですか?」
セレの言葉は確認のようでいて、核心をもった一言。
理解していながら、理解したくない心が・・・。
「俺は、エミルの世界に旅立とうと思う。今の俺に何が出来るかはともかく・・・」
「私は!!」
俺の言葉を遮って、セレは声を荒げる。
その表情は悲痛で、そんな顔をさせている自分が・・・どうしようもなく嫌になった。
「・・・・私は、アル様と離れたくありません!!」
心からの叫び・・・。
幼い頃の約束を、今もずっと守り続けている幼馴染に・・・
親の決めた事とはいえ、将来を誓い合った許婚に・・・
「セレ・・・、俺はあの家にはいられない。あそこに俺の場所はないんだよ」
俺の言葉に、静かに涙を流すセレの姿に。
大切な人を悲しませることしか出来ない自分に・・・
(俺は・・・どこまで無力を噛み締めればいいんだ?)
「ごめん・・・、ごめんな・・・セレ」
「アル・・・さま」
泣き止んで欲しくて、笑った顔が見たくて、それでも彼女を泣かし続けていた俺は、
最後の最後まで、彼女を悲しませることしか出来なくて・・・
そんな不甲斐ない自分が大嫌いで。
いつまでも彼女に守られている自分が大嫌いで。
騎士なんて大層なものになったところで、守れるものなんて無くって。
(俺は・・・なにをしてるんだろう)
「・・・・・うぁぁぁあぁああぁあぁあああぁぁぁぁぁあぁ」
泣き続ける彼女を、抱きしめている以外の方法を知らない自分が酷く惨めだった・・・



「・・・準備は出来たのか?」
何年ぶりだろう・・・。
親父のほうから声を掛けてきた。
(それが別れの言葉ってのも、なんていうか「らしい」感じはするけど)
「ああ、万事抜かりなく・・・とまでは、いかないけどな」
「・・・そうか」
久しぶりに見た親父の顔は、眉間に深い皺が刻まれ、なんだか何年も老けた様に見えた。
「意外だよ。親父から声を掛けてくるなんてな」
俺の言葉に、少し驚いた様感じで
「息子の門出だ。旅立ちを見届けぬ親がどこにいる?」
なんてのたまいやがった。
いろいろ言いたい事もあったけど、この親父には感謝すべきこともある。
最低の形で終わった関係ではあるが、彼女との人生に、後悔はない。
だから、±0ってことで、・・・
「・・・・あっそ」
その一言で・・・終わらせよう。
「お前に騎士の道は似合わんだろう・・・」
「エミルの世界には古代遺産がまだ存在する。
お前はストライカーだ。封印された力には、遺産を駆使する技術があるという。
・ ・・お前は縛られない生き方をしたらいいだろう」
独白の様な親父の言葉に、俺は只々怪訝な顔を向けるのみ。
「何がいいたいんだ?」
「不肖の息子に送る、最後の言葉だ・・・」
なんだかいろんな感情がごちゃ混ぜになった複雑な表情だった。
「そんな心遣いするんなら、母さんの最期にすりゃよかったんだよ」
「・・・お前は・・・後悔する人生を歩まぬようにな」
きっとそれは、親父の心遣い。
不器用な親父は、どこまでいっても不器用なまんまなんだろう。
「・・・・じゃあな、親父。」
背中で別れを告げる。
きっと正面きって別れの言葉は言えないだろうから・・・




「アル様・・・」
家を出た俺を待ち構えていたのは・・・
「・・・セレ?」
鮮血の紅眼と称されるドミニオン族の紅き瞳が、彼女の泣き腫らした表情を隠している。
この一月、彼女を悲しみの淵に立たせたのは間違いなく自分なんだろう・・・。
「・・・これを」
セレが渡したのは黒と銀の鋼の塊。
「これは?」
「古代遺産の一つで、「銃」と呼ばれるものです。
私では扱えませんが、アル様なら扱うことが出来ると思いまして・・・」
両の手にずしりと来る重みが、なんだか心地よかった。
「私からの、旅立ちへの贈り物です。」
「セレ・・・・」
「私、アル様を諦めません。また出会えると信じています。」
静かに顔を上げた、セレの表情は・・・
「だから、しばしのお別れです・・・!」
晴れ渡る空のような、最高の笑顔で。
だから、俺は
「・・・ああ、行って来る!」
俺は、俺の道を行くために、今までの道に別れを告げる。
だけど、俺を待っててくれる人がここにいる。
だから、彼女に相応しい男になろう。
全ての出会いは自分の糧になる。

いつか、彼女を向かいに行けるように・・・・
彼女から貰ったこの両手の鋼に誓おう












スポンサーサイト
[ TB*0 | CO*0 ] page top

COMMENT

 管理者にだけ表示を許可する

TRACK BACK
TB*URL
Copyright © 今宵は月と花と夢語りと・・・. all rights reserved. ページの先頭へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。